歩き方ひとつで良い事も悪い事もある

これまでも歩き方について色々書いてきましたが、来院されている方に歩き方ひとつで予防医学にもなりますよねと言われましたので改めてブログに書きたいと思います。

単純に歩くという動作ですが町を歩いていても人それぞれ違うことがわかります、腰痛になる歩き方、膝を痛めたり股関節に負担がかかっているだろうなと思うことは多々あります。

大まかにこんな事があります。

1.膝が痛くなる

2.股関節に負担がかかる

3.腰痛になる

4.首肩にくる

5.外反母趾や内反小趾

6.上半身も斜めに歪んでくる

負担を減らすための補助機能がある靴も多種ありますが、そもそも裸足でも負担が少ない歩き方ができれば靴を履いた時になお楽ができるのではないでしょうか。

外反母趾等足のトラブルを抱えている方も多いですが、大半は足の指や裏に大きく負担のかかる歩き方や着地になってしまっています。

数年前に陸王というドラマの中で故障した選手や裸足で走っていた方には、ミッドフット着地が良いという事が描かれていました。

それは足の腱や靭帯への負担が減るからとも言われていましたが、走って良いものは歩いても良いものであります。

ドラマの中ではミッドフットの着地を感じやすくするために、薄いソールの靴で裸足のような感覚を得ていました。

速く走る為には腱や靭帯に負担をかけてでも強い力を発揮しなければいけない事もあると思います、ケガをせずに練習し続けることも速くなるには大事なことです。

アスリートの方はそのような所で考え方のせめぎあいがあると思いますが、一般的にはケガのリスクは減らしたほうが良いと思います。

(1)膝が痛くなるについて

太腿の筋肉

前重心過ぎたり着地時に太腿に力が入ってしまうと大腿四頭筋が常に緊張し拘縮してきてしまいます、そうなると腱にも余裕がなくなり引っ張られ膝周りに痛みが出るようになります。ストレッチで膝裏を伸ばそうとしても伸びきらない感じがしたりもします。着地時に足裏の外側を使いすぎるとO脚、内側だとX脚になりやすいです。

(2)股関節に負担がかかる

真っすぐ歩いてるつもりでも左右に重心がブレながら歩いていると、その度に起こる負担を太腿の横側の筋肉が頑張って支える事になります。

股関節あたりの筋肉

頑張って支えはするのですがいつまでもは続かず、その周囲の靭帯や腱も伸びてきてしまいます、見た感じ大腿骨にある大転子がすごく出っ張ているようにも見えたりもします。

(3)腰痛になる

よく歩くときは踵から地面に着地すると言われますが、今の歩き方が裸足でもできますでしょうか。

足の裏

踵の骨はとても大きいです、裸足で上の画像4の部分で着地するとゴンゴン音がすると思います、その衝撃が腰にこつこつダメージを貯めていきます、3の部分は踵の骨の前方ですここでなら裸足で着地しても音はあまりしませんしその分衝撃は少ないです。

他には体全体よりも骨盤だけ先に進んでしまってやたら反り腰になっている方もおりますが、それも腰の負担は大きいです。

着地時に①の方は外反母趾になる可能性が高いです。

④の時は踵で進む力を受け止めていましたが、足の運びや力の方向で母指の付け根に地面からの反力が加わりやすくなります、母指球で歩くと良いという話もありますが母指に意識がいってしまうと指先側に行き過ぎてしまってこうなる場合もあります。

上の図は足が前に行こうとする力と着地で地面が受け止める反力の方向

負担を軽減する着地は②か③

裸足で②か③辺りで着地しますと④の時のようなゴンゴンと音はしないと思います、土踏まずを形成するアーチもショックを吸収するように使えます。

地面に対し上から下にフラットに着くことができますと、反力も下から上へとかかります。

そうすれば足の指への負担も減りますね。

足を真っすぐ出すことができれば負担はさらに減らせると思います。

(4)首肩にくる

目線が常に下を向きすぎている方も多いですね、確かに一歩で5m進むことはないので転んだりするのを気を付けるのは大丈夫なのかもしれませんが視野が狭くなり他に何か起きても例えば自転車や車が近くにいてもすぐに気づけない事も多いと思います、それどころか人にぶつかってる方も時々見かけます。視野をある程度広めに保つことによって危険察知できたりもできます、きっと避けてくれるだろうより積極的に安全策をとっていきたいものです。

上の図のように頭の重さは体重の10%程と言われています、下を向きすぎると首肩の筋肉で支えないといけません、それだけでも大変ですが動くとその重量はもっと大きくなります。首肩が疲れないわけがありません。

(5)外反母趾、内反小趾

歩くときの着地時には体重より大きな衝撃があります、足裏が斜めに着地した時その衝撃は地面から跳ね返されてきますので靴が吸収できるくらいの物なら良いのですがそうでなければ足への負担になります。

単純に足の親指がぐにっとなると外反母趾、小指だと内反小趾になりやすいです。

歩く時足の裏のどこから着地し、どこから前に身体を押し出すか、よくいわれるのは踵から着き、母趾球で蹴るように歩くといわれます。

踵については先ほどの腰痛の場所でお話しさせて頂きましたが、母子球というのも本当に母趾球だけで歩くのではなく母趾球のやや内側を使う感じで歩かないと親指を痛めてしまったり外反母趾になる可能性があります。

小指側に体重が行き過ぎてしまうと内反小趾になります。

上手く歩けると足音もあまりしなくなります、単純に歩くことも練習しないと意外と難しい事なのですが、長く健康な足でいる為にもコツコツ練習いたしましょう。

(6)上半身も斜めに歪んでくる

歩くときに荷物を持ち歩く方も沢山いらっしゃると思いますが、かなり
軽い荷物でも持った方の手や肩の動きが制限されてしまいます。

荷物を斜め掛けにしても掛けられた方の肩は動かなくなります。

肩や腕が動かなくなる分上半身に無理な力がかかってしまう所が
出来る上に、骨盤の動きも偏りが出てしまいます。

つまり荷物を持ってウォーキングを2時間するより、荷物を持たずに
40分でもウォーキングした方が身体には良い・・・という事です。

雪の日には滑らないように歩くコツがあります。

重心をいつもよりやや低く、足の裏全体で着地し蹴らずに前に押し出すように歩くと凍っていてもそうそう滑りません。

踵後方から着地するとズルッと滑ります、地面を蹴ってももちろん滑ります。
雪の日には雪の日の歩き方があります。

といったように大まかでも歩き方ひとつでこれだけ悪い事があり、これだけ自分の体を守る事ができます、単純でも積み重なっていく事です、未来の事は誰にもわかりませんが良い可能性を持てるようにお過ごしいただけたらと思います。

重力と足への負荷

階段を下りる時に膝が痛くなる

階段や山の下り膝が痛くなったりしていませんか、降りるという動作は歩く動作に比べて膝周りの筋肉に大きな負荷がかかります。

疲労が蓄積していくと降りるという動作の負荷を筋肉が吸収できなくなり痛みを発してしまいます。

軟骨がすり減ってや膝が変形して、と言われた方もいらっしゃるかもしれませんが少なくとも良い筋肉の状態にはなっていないと思われますのでその辺りを見直してみるのも良いと思います。

本日は階段を下りる動作について少し書かせて頂きたいと思います。

階段を降りる時に起こる力

階段を降りる時には体を前に進める速さと、下に落下する速さが起こります。

その速さと体の重さ、重力等を太腿や足の筋肉が受け止めることで階段を降りることができます。

早く降りようと前に行く速さ、そして体の重心が高くなるほど落下する力が強くなり受け止めるための筋肉も必要となります。

それに膝周りが耐えれなくなるので痛みが出ます。

次は階段や山を降るときのコツです。

降りる時のコツ

膝が伸びていると重心が高くなります、少し屈んで重心を下げなるべく下に降りようとする事で前進する力を減らすことができます。

横向きで降りようとすると前に行こうとする力がなくなり、横に行こうとする力が働きます。

前に行く力がなくなる分膝が楽になりますが、やり方によっては股関節付近が痛くなる可能性もあります。

コツとしては

前進する力を減らし、膝を少し曲げて重心を下げ、なるべく下に降りることです。

直進的に降りるよりも斜に降りる方が負担は減りますが、山道で人がいなければ良いと思います、ですが階段では他の人にぶつかるかもしれませんのでお気を付けください。

手すりを使い降りる速さを落とすのも良いです。

重力と足への負荷

1.足にかかる負荷の変化

2.ランニングで痛めやすい箇所

3.負荷を減らす為の動作

4.負荷を受け流すには

動作によって負荷が変化する

足に常に同じ負荷がかかっているわけではなく動作によって増減します、立って止まっている時に足にかかる負荷を1とすると

・歩く時には体重の1.2倍

・走っている時は3倍

・ジャンプして着地時には6倍

・山の下りは2~3倍かかります

(長期継続する事によって疲労がどんどん溜まり山の下りで動けなくなる方も多いです)

そして1日に足にかかる負荷は540トンと言われ、無意識ながら身体を支え続けています。

ランニングで痛めやすい箇所比率

膝30%

脛15%

アキレス腱10%

足底10%

短距離は大腿を痛める事が多いですが、長距離は膝や脛を痛める事が多いようです。

足の疲労を溜めすぎない為には

速度を緩める、歩幅を狭くする、上下の動きを穏やかにする(スロープを使うなど)

逆に速度を上げる、歩幅を広くする、上下運動を激しくする(階段を1段にするなど)を行うと筋肉に強く刺激がいくので筋トレになりますが調整しないと痛めやすくもなります。

負荷を受け流す

同じように動いているようでも身体を痛めづらい方もいます、膝でいいますと着地時にまともに膝に衝撃がいかないようにタイミングよく膝を曲げたり、着地時にピタッと止めるのではなく前後左右に力を逃がすことを自然とできると痛めづらくなります、それは練習すればできるようになる事ですし、子供の頃は自然と出来ていたものではないでしょうか。

人は行っていない動作等はどんどんできなくなっていきます、将来これから先の事も考え足を大事にずっと歩けるようにしたいものですね。

歩き方ひとつで良い事も悪い事もある